前篇に続き、今回は日本のあるアジア圏を見てみましょう。アジア全体で見れば、コロナウイルスを抑制するために迅速に行動したためか、全体としてはNo.1の伸び率を記録しました。アジアのチャートインしているクラブの77%が順位を上げるか、NEW ENTRYしており、今年も7つのクラブが新規参入し、最も多い地域となったのです。

 

そのうち5つが中国からで、ダンスミュージックへの愛情が以前にも増してはっきりと感じられるようになりました。2021年には、中国にある7つのクラブのうち6つが順位を上げ、スーパークラブチェーンのSpace Plus (広州)が、今年のHighest New Entry賞を受賞し、フォンシャンにあるClub Galameが42位と驚異的に順位を上げてHighest Climberに輝きました。

 

アジアでは、今年唯一のRE ENTRYとなったベトナムのハノイにある1900 THEATERが、19年にチャートインしており、その他香港と台湾からも新規参入しました。

 

最後に日本からは、#53 WARP SHINJUKU、#67 WOMBがランクイン。ここで、この2つのクラブについてもう少し詳しく考察していきましょう。

 

 

WARP SHINJUKU (#53 - UP 9)

 

WARP SHINJUKUは、20年、21年と2年連続で、TOP100CLUBSにランクインしました。まだ3周年を迎えていないクラブとしては悪くない結果です。東京のナイトライフ地区の中心に位置するこのスーパークラブは、2018年にオープン。すぐに首都・東京の主要なクラブ拠点の1つとしての地位を確かなものにしました。最先端のサウンドと照明デザイン、日本をテーマにしたダンスショー、ローカルトップクラスのDJが、このクラブのファンを獲得しています。

 

WARPは、様々なジャンルのクラバーが集う3つのエリアに分かれているのが特徴です。VIP向けの豪華なベルベットシートに囲まれたUNIVERSE FLOORでは、夜通しEDMを楽しむことができ、BAR METEOでは、よりエッジの効いたクラブサウンドを求める人のために特別なDJセットが用意されています。COSMOS ROOMは、3つのスペースの中で最も小さなスペースで、アンビエントでアットホームな隠れ家的空間です。

 

 

WARPは、「100年後の東京」をテーマに、宇宙から見た世界で最も明るい都市にふさわしい未来的なテーマと内装で構成されています。

 

現在、日本最大のLEDスクリーンと、Tomopiro, Ryohey, Ibaki, Max, Bar:D Suzuki, Kage, Shimonを含むレジデントDJ陣を擁しています。WARPの歴史は、まだ始まったばかりです。

 

 

 

WOMB (#67 - Down 9)

 

日本で最も有名なクラブであるWOMBには、輝かしい歴史があります。20年以上にわたり、ハウス、テクノ、ドラムンベースで最もホットなアーティストを東京に招き、優れたサウンドシステムとスタイリッシュなインテリアは、WOMBを世界の舞台で活躍するアーティストに成長させました。

 

WOMBは渋谷のヒップなエリアに位置し、横道に入ったところにそれはあります。一歩中に入ると天井の高い空間が広がり、夜が深まるにつれ、天井から巨大なミラーボール(アジア最大サイズ)が降りてくる光景を見たことある方も多いのではないでしょうか? ドイツのd&b audiotechnikが製作したサウンドシステムによって、音楽がクラバーたちを包み込み、LEDスクリーンが視覚的な輝きを与えてくれます。

 

この歴史あるクラブの営業も、パンデミックによって大きな影響を受け、何度か臨時休業や営業時間の短縮を余儀なくされました。また、海外DJをブッキングすることができなかったため、代わりにローカルの優れたアーティストをフィーチャーし、営業を続けてきたのです。

 

「ローカルのアーティストやオーガナイザーにこれまで以上に目を向け、海外からのゲストを招かない新しいタイプのパーティーを作り上げました。また、新しい才能に出会い、東京のローカルアーティストやクラブシーンの可能性を発見する絶好の機会でもありました」と彼らは話します。

 

世界的に有名なテクノDJ、石野卓球とDJ Nobuをレジデントに迎え、今後活躍が期待されるアーティストが多数レギュラー出演するWOMBは、日本のダンスシーンの素晴らしい未来を育んでいるのです。

 

 

読者の皆さんも、昨年~今年は東京を始めとする、全国のクラブシーンでセンセーショナルなニュースがたくさんあったのは、ご存知でしょう。

 

 

まず、残念なニュースの一つで言うと、19年までTOP 100 CLUBSに毎年のようにランクインし続けた日本最大のクラブ・ageHa (Studio Coast)が、借地契約満了に伴い、22年1月に閉館したことでしょう。ageHaは2002年12月にStudio Coastがオープンして以来、約20年にわたり開催され、延べ300万人以上が来場し、多くのクラバーを熱狂させてきました。

 

また、渋谷・道玄坂にある人気クラブ・SOUND MUSEUM VISIONContact Tokyoは、道玄坂二丁目南地区の大規模再開発に伴い、9月3日と9月17日で閉店予定。VISIONは、15年12月に閉店した伝説のクラブ・Airの姉妹店となるライブ&サウンド・スペースとして、オープン。ファッションブランドなどのイベントや、TOP 100 DJsにランクインするアーティストの来日イベントも開くなど、渋谷のクラブシーンをけん引するスポットとしても知られてきました。

 

ポジティブなニュースで言うと、銀座でおなじみのランドマーク、東急プラザ銀座内に誕生した、大人のナイトライフを彩るクラブ・RAISEのオープンや、先述ご紹介したTOP 100 CLUBS #53 WARP SHINJUKUのある新宿に誕生した・IP Tokyoでしょう。

 

昨年秋にオープンしたIP Tokyoは、海外観光客が東京に来たら誰しも訪れるであろう繁華街・新宿歌舞伎町に位置し、アクセスは抜群。内装は、黒を基調としたシックでクールなイメージ。ゆったりと過ごせるゴージャスなVIP、最高なエンジニアによって構成されたグローバルスタンダードなサウンドとライトニングシステムを屈指しています。すでに海外の有名アーティストの招聘も行っており、これから益々盛り上がりを見せると予想しています。

 

 

21年から続く世界的なパンデミックの後、私たちは、チャート入りしたクラブだけでなく、生き残ったすべてのクラブに大きな健闘を称えたいと思います。私たちは、すべての会場が現在進行中の戦いでベストを尽くすことを祈っていますし、生き残ることができなかった会場は、とても残念に思います。

 

TOP 100 CLUBS 2022の発表は、今月6月末を予定しています。

 

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